仕組みで考えるときのポイント

脳はこれまでお伝えしてきたように、部分しかとることができません。
全体を全体として認識することが出来ないんですね。
この認識構造の仕組みに沿って考えることが大事になってきます。
今回は、そのポイントをシンプルな対称性で表現してみたいと思います。
全体をとることが出来ないのに、
「話の全体が聞けないから、わたしは考える力がないんだー」
という悩みは、意味がありませんよね。
意味がないというとちょっとバッサリと切り捨てた感が出ちゃいますが(笑)、脳の認識構造がそもそも全体をとることが出来ません。
部分を集合させて全体を構成するしかないのが、認識構造です。
ということは、全体をつかめないと悩むよりも、「どの部分を組み合わせればいいのか?」という発想の方が、現実的だということが分かります。
そんな日常でよくありがちな状況を題材に、どんな部分に着目すればいいのか?を表現してみたいと思います。
◆単語ではなく、ニュアンスを把握する
コミュニケーションでよくある話ですが、相手の単語を聞いてしまうと、結局相手が何を言わんとしているのか、相手のニーズを把握することは難しくなります。
単語って結局、その単語で何を現そうとしているのかは、本人のみぞ知る世界です。
それを自分勝手に解釈して受け取ってしまうと、そのとたんにズレが生まれてしまいますよね。
ニュアンスをとるには質問することが重要です。
「〇〇って言われてましたが、それってどういう意味ですか?」
「別の言葉で表現すると何になりますか?」
相手が表現している中でも、もっとも重要だと思うキーワードに対して、この質問をすると効果的です。
人って、自分が伝えたいと思っているところへ質問されると、うれしくなるもんです。

◆複雑ではなく、シンプルに取り組む
認識構造は、部分的な情報だけをとって全体像を創り出してしまいます。
じゃあ、複雑ってどうやって生まれるんでしょうか?
複雑が生まれるには、バラバラな複数の部分情報に着目する必要があります。そうすると全く違う全体像がいくつも生まれてしまうことになりますね。
これが、つながりのある複数の部分情報となるとどうでしょうか。全く違う全体像が、どこかでつながっていることになります。
「全く異なるバラバラな複数の世界」と「つながりのある複数の世界」とでは、受け取り方に違いが出てくるのが分かりますか?
認識構造は、必ず「部分」「違い」を観てしまいます。
しかし、部分や違いがるということは、共通点もあるということになります。
この「共通もある」ということが、仕組みを使った考え方なんです。
どんなに異なる複雑の世界でも、必ず共通点はあります。
その共通点から世界を再構成していく。
これがシンプルに取り組む秘訣です。
「その世界に取り組む、目的やゴールは何?」
「その世界と向き合っている自分は何者なの?」
◆まずは主観、そして客観
客観的に考えるのが苦手という人はいますね。
でも、逆に主観的に考えることが苦手という人と、出会ったこありますか?
そう、誰もが主観的に考えるということは共通していることになります。
ということは、客観的に考える前に、先ず「主観的に物事を捉えて」、そこから「客観的に捉えなおす」というプロセスがあるんだということが分かります。
もう一度書きますね。
先ず「主観的に物事を捉えて」 → 「客観的に捉えなおす」
主観と客観の違いは、いろいろと表現することができると思いますが、ここではシンプルに構造で表現してみましょう。
客観は、関係で示すことができること。主観は、そのどちらかを示してしまうこと。といえます。
例えば、
客観は、「原因と結果」「主語と述語」「結論と状況」「思ったことと背景」この通りに示すことができると。
主観は、これを切り離してしまうことです。
結果だけを示してしまう。述語だけを示す。状況だけ、結論だけ、思ったことだけを示してしまう。
認識構造の影響で、切っても切り離せない相互関係なのに、部分だけを切り取ってしまうので、主観と客観が生まれてしまうんですね。
ここでのポイントは、主観はダメで客観が素晴らしいというものではありません。
客観性の質を上げようとすればするほど、実は主観が大拙になってきます。
主観で持っている些細なニュアンスの違いが、客観性で示そうとするときに大きな違いとして出てきてしまうんですね。
客観性は、主観の質も上げてくれます。
だからこそなんです。
主観でしっかりと受け止めること。「何を感じているのか」「どう思っているのか」
その上で客観的に捉えなおす、というプロセスへ移行していきます。
自分が受け取っていることを、改めて観察してみましょう。
「何を感じているのか」
「どう思っているのか」
「なぜその捉え方をしているのか」
今回は、3つのポイントをご紹介しました。
また、ポイントで整理するシリーズ、やってみたいと思います。